9月25日令和5年第3回定例会での山本哲県議による一般質問を掲載させていただきます。
以下が内容です。
山本哲議員 質問:
県営水道は、今年、創設90周年を迎え、その長い歴史の中で常に寒川浄水場は県営水道のシンボルとして存在してきた。
これから、県営水道の基幹的な施設である寒川浄水場を廃止するにあたっても、地元の住民や企業等に対し、どのように安定給水を確保・維持していくのか、万全を期すことが求められていると考える。
そこで、現在廃止の対象となっている寒川浄水場について、企業庁として、これまで寒川浄水場が果たした役割や成果をどのように考えているのか、見解を伺う。また、今後廃止に向けてどのように進めていくのか、併せて見解を伺う。
【昭和30年代の寒川浄水場の様子】 【現在の寒川浄水場の様子】
企業庁長 答弁:
次に、寒川浄水場のこれまでと今後についてお尋ねがありました。
まず、寒川浄水場が果たしてきた役割・成果です。
昭和11年に相模川下流域に開設した寒川浄水場は、県内の急激な水需要の増加に対応して、順次施設を拡張し、県民の「いのち」をつなぐ水道水の供給源として、湘南地域を中心に、県民生活と企業活動の発展に大きく貢献したものと考えています。
次に、廃止に向けた今後の進め方についてです。
水需要の減少が今後も続くと想定される中、水道事業を将来にわたり持続させていくためには、施設を適正規模へダウンサイジングすることが必要です。
現在、県営水道を含む県内5事業者は、連携して水道システムの再構築を進めており、その中で、現存する寒川第2・第3浄水場は、廃止を想定しています。
このうち第2浄水場については、今後10年以内に大規模な設備更新時期を迎えますので、多額の投資を避けるため、第3浄水場に先行して令和12年度を目途に廃止することを、次期水道事業経営計画に位置づけ、令和6年度から必要な取組を開始したいと考えています。
具体的には、第2浄水場から水道水を供給している11市4町のうち、5市について、他の浄水場からの供給に切り替えていくための管路整備を行います。
さらに、単独での運転となる第3浄水場が事故により停止するケースなどに備え、バックアップ機能を維持・強化するため、ポンプ所の設置等を進め、第2浄水場を廃止しても、水道水の供給に支障が出ないよう、万全を期していきます。
また、第3浄水場については、水道5事業者による水道システム再構築の進展にあわせ、第2浄水場廃止の概ね20年後の廃止を想定しています。
なお、廃止後の跡地利用については、第2浄水場の敷地に、特別高圧電線や薬品貯蔵庫など第3浄水場の運転に必要な施設もあることから、第2と第3浄水場を合わせて検討していきます。
県営水道は、地元の皆様に支えていただいた寒川浄水場を通じ、今日まで安全・安心な水道を県民の皆様にお届けしてきました。そのことを忘れることなく、新たな時代にふさわしい水道システムの構築に努めるとともに、町との連携の下、浄水場跡地がレガシーとなるよう、精力的に検討を進めてまいります。
私からの答弁は以上です。
(要望)
寒川第2浄水場については、令和6年度から廃止に向けた取組に着手したいとの答弁がありました。
第2浄水場は、いよいよ廃止に向けて動きだすことになると思いますが、寒川浄水場は、県営水道の創設期から稼働し、本県の県民生活や経済活動の発展に大きく、寄与してきた歴史のある、浄水場です。廃止するに至った経緯やスケジュールなどを地元の方々をはじめ、県民の皆様に対して丁寧に説明して頂きたいと思います。
また、寒川浄水場は安定給水だけではなく、県民に水の大切さを広く知ってもらえる、象徴的な施設としての役割を担ってきた、貴重な存在であります。
私としては、県内の多くの小学生が大型バスに乗って寒川浄水場を訪れ、川からの水がどのようにして各家庭に送られているのかなど、社会科見学を受け、児童が浄水場の職員の方へ贈ったメッセージがロビーや廊下に掲示されていたことなどを思うと、少し寂しさを感じますが、ぜひ浄水場があった証を後世に残すことを検討していただきたいと思います。
第1浄水場の跡地には、水道記念館やテニスコート、プールなどがあり、その隣接地には本年8月に企業庁の協力を得て、町の給食センターが開所し、地域の活性化につながっています。今後の跡地利用についても、地域の皆様に親しまれる場所となるよう、地元の意見を取り入れていただくよう要望いたします。
【水の広場】
【水道記念館】
画像提供:企業局