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9月22日一般質問「手話言語の推進について」

9月22日令和5年第3回定例会での市川和広県議による一般質問を掲載させていただきます。

以下が内容です。

 

市川和広議員 質問:

明日、9月23日は国連が定めた「手話言語の国際デー」である。

令和4年第2回定例会の一般質問において、「手話言語の国際デー」のロゴのカラーであるブルーを県庁本庁舎においてライトアップするなど、手話言語の推進に向けて取組むことの重要性について指摘させてもらった。

ろう者への理解を深めるためには、手話通訳を通して聴覚障がいの皆様とのコミュニケーションの場を増やしていくことが重要であり、そのためには、手話通訳者などろう者の支援に携わる方々の地位向上など、取組をしっかりと進めていくことが必要である。

そこで、今後、ろう者への理解促進や、手話の普及推進にどのように取り組んでいくのか、見解を伺う。

 

黒岩知事 答弁:

次に、手話言語の推進について、お尋ねがありました。

手話は、ろう者の間で受け継がれてきた大切な言語であり、地域共生社会の実現に向け、ろう者への理解と手話の普及を進めていくことが重要です。

県はこれまで、事業者向けの手話講習会の実施や、手話学習用冊子の県民への配布のほか、手話イベントの開催など、手話の普及に取り組んできました。

また、令和5年3月に手話言語条例を改正し、「ろう者への理解」が手話の普及に重要であることを、明確に位置付けました。

こうした、ろう者への理解や、手話の普及を進めるためには、手話を通して、直接ろう者とコミュニケーションを図る機会を増やすことが重要であり、このコミュニケーションにおいては、手話通訳者が重要な役割を担っています。

しかし、令和4年度に手話通訳となった方は、政令市、中核市を除く県所管域で6人と大変少ない状況のため、手話通訳者を増やしていく必要があります。

そこで県は、ろう者の方々とともに手話普及推進イベントを実施し、ミニ手話講座や、手話での絵本の読み聞かせなどを通して、県民がろう者や手話に実際に出会い、ふれあう機会を作っていきます。

また、9月23日の手話言語国際デーに合わせ、県庁本庁舎をはじめ、市町村等と連携して、県内のさまざまなスポットを、国際的な手話普及のシンボルカラーであるブルーにライトアップします。あわせて、今後、各地域で実施されるイベント等を、ホームページで周知します。

さらに、手話通訳の仕事に魅力を感じていただけるよう、東京2025デフリンピックの関連イベントで、手話通訳者の仕事の重要性をPRするとともに、手話講座や手話通訳者養成講習会の周知を行い、手話通訳者を目指す人を増やしていきたいと考えています。

県は、当事者団体や市町村とも連携しながら、ろう者への理解や手話の普及に向けた取組を進め、地域共生社会の実現を目指してまいります。

 

(要望)

次に手話言語の推進についてです。

9月16日と17日、加藤元弥議長、しきだ博昭神奈川県議会手話議連幹事長と、鳥取県で開催された鳥取県手話言語条例制定10周年記念式典に出席させていただきました。オープニングセレモニーのパネルディスカッションでは、全日本ろうあ連盟の石野富志三郎理事長、鳥取県聴覚障害者協会の下垣理事長、平井伸治知事らが登壇し、手話言語の普及に向けたこれまでの取り組みを振り返るとともに、更に、10年先を見据えた課題や展望について活発に意見が交わされました。

続くトークセッションでは神奈川県ゆかりのデフアスリートである早瀬憲太郎さん、早瀬久美さん、更には、鈴木大地 元スポーツ庁長官、鳥取県出身のデフゴルファーの前島博之選手が2年後のデフリンピック東京大会を見据えてデフスポーツの魅力や可能性について語り合いました。

神奈川県においては2014年12月に手話言語条例が可決成立し、翌年2015年に施行されました。2015年は、デフリンピック東京大会が開催されるその年、神奈川県手話言語条例が施行され10年の節目の年と重なります。

この10年の節目を迎える機会をとらえて、神奈川県においても、手話言語の普及・推進を全国に発信する取り組みを今から検討していただきますよう要望いたします。

また、手話通訳者などのろう者支援に携わる地位向上に対する答弁をいただきましたが、資格者としての手話通訳士、手話通訳者になるには、数年間の研修の上、認定機関の試験を受験することとなっています。

士業として、専門職としてのステップがありながら、一方で、正規職員としての雇用の場はほとんどないのが現状であります。

県内自治体でも、会計年度任用職員としての任用が中心であり、雇用は安定しているものとは言えず、賃金水準も一般職員と比べて低いものとなっております。

こうした職業体系の問題から、手話通訳で生計を立てることは難しく、副業として担われている方が大半となっています。

手話が言語であるならば、その言語の伝道師たる手話通訳者が生業として成り立つものでなければ、夢を持って目指す職業となりえず、奉仕員、ボランティアの域を脱することはできません。

制度、環境が手話の普及を阻害していると言っても過言ではないと考えます。合わせて、この辺も実情を踏まえてしっかりと取り組むことを要望いたします。