6月25日令和6年第2回定例会での山口 美津夫県議による一般質問を掲載させていただきます。
以下が内容です。
山口 美津夫議員 質問:
昨年は本県で、農作物被害を発生させるイノシシやシカなどを捕獲するためのわなに、誤ってクマがかかってしまう錯誤捕獲も9件発生した。
錯誤捕獲は、わなにかかったクマが興奮し暴れるため非常に危険な状態となることから、できるだけ早く現場が安心できるためには、初期対応として、例えば、まず麻酔銃によりクマを眠らせて、それから対応について調整するなど、危険性が高まらない事前の備えが必要なのではないかと考える。
そこで、県は、ツキノワグマが錯誤捕獲された際、住民の安全を確保するためにどのような対策を講じていくのか、また、麻酔銃をどのように活用していくのか、見解を伺う。
局長 答弁:
まず、ツキノワグマが錯誤捕獲された際、住民の安全を確保するためにどのような対策を講じるのか、についてです。
錯誤捕獲されたクマは、奥山へ運搬して放獣することとしていますが、県民に危険が及ぶなど殺処分せざるをえない場合もあるため、県と市町村が協議した上で、個別に対応方針を決定しています。
これまでは、方針が決定してから県又は市町村が専門業者に出動を依頼していたため、錯誤捕獲発生から、現場到着までに時間がかかり、危険な状態が長引いてしまうという課題がありました。
そこで、今後は、錯誤捕獲発生の一報が入った段階で、県が専門業者に出動を依頼し、速やかな対応を図っていくこととしました。
次に、麻酔銃の活用についてです。
クマに麻酔銃を使用するためには、クマの生態を熟知し、麻酔銃や薬品の扱いに習熟している必要があります。
そのため、県が錯誤捕獲時に依頼する業者は、野生動物への麻酔銃使用経験が豊富な専門の業者とし、まずは麻酔銃を活用することによって、速やかに安全を確保していきます。
このように、県では、ツキノワグマの錯誤捕獲発生時の対応の迅速化を図り、麻酔銃も有効に活用して、住民の方々が安心して暮らせるよう危機対応に取り組んでまいります。
山口 美津夫議員 再質問:
麻酔銃をどのように活用していくのか伺ったが、麻酔銃を使用するためには、どのような要件があるのか。
局長 答弁:
まず、麻酔銃を所持するためには、銃刀法に基づき都道府県公安員会からの審査を経た上で、許可を受ける必要があります。
また、麻酔銃は、許可を受けた者の所在地で保管しなければなりません。
さらに、麻酔銃で処置を行う際は、注射器を狙った場所にあてる高度な技術や、野生動物の大きさや状態に応じて、薬品の量などを決める専門的な知識が必要となります。
なお、使用する薬品によっては、麻薬研究者免許や獣医師免許も必要になります。
要望:
ツキノワグマ錯誤捕獲発生時における危機管理対応についてです。
昨年、錯誤捕獲について一般質問で取り上げた結果、県は、速やかに「ツキノワグマ錯誤捕獲発生時の対応手引き」を作成してはいただきました。本当にありがたいと思います。 今回発生した錯誤捕獲の対応は、この手引きに沿って行われたと承知していますが、人身被害防止のための迅速な安全確保、地元関係者の負担軽減という点では、まだまだ出来ることがあるのではないかと思います。 昨年、相模原市で発生した6件の錯誤捕獲の対応時間を調べました。総時間で43時間6分、1件当たりの対応時間は、長いもので16時間9分、14時間30分、5時間12分、短いもので4時間です。対応した津久井警察署の署員だけでも34人です。その署員はパトロールを含んでいません、その現場に行った署員です。 一連の作業に時間がかかる理由は、先ほども申し上げましたけれども麻酔銃を扱える業者が県内に少ない、現地に到着する時間が長い。 そこで麻酔銃の処置ができるように、現場の方々の意見を聞いていただき、錯誤捕獲発生時の手順を見直すこと、麻酔銃の扱いができる猟友会員、銃刀法は届け出ですから、そういう方を配置し、麻酔薬の量が難しいのであれば、地域の獣医の方に協力をしていただいて、迅速に対応ができるように再度検討していただけたらありがたいと思います。 |