9月20日令和5年第3回定例会でのあらい絹世県議による一般質問を掲載させていただきます。
以下が内容です。
あらい絹世議員 質問:
仕事をしながら家族等の介護をするいわゆる「ビジネスケアラー」が増加しており、経済産業省は、2030年にビジネスケアラーが全国で約318万人に達し、介護離職者も約11万人になると推計している。
人手不足が叫ばれる中、特に中小企業にとって、優秀な人材が介護により仕事を辞めるという事態は、経営に直結する大きなリスクであるということを企業の経営者が認識することが必要であると考える。
そこで、ビジネスケアラーが離職することなく仕事と介護の両立ができるよう中小企業に対してどのような支援を行うのか、知事の見解を伺う。
黒岩知事 答弁:
次に、中小企業のビジネスケアラー支援についてです。
仕事をしながら家族の介護や看護をする「ビジネスケアラー」を支援するため、県はこれまで、ホームページ等で介護に関する休業制度などを周知するとともに、柔軟な働き方が可能となるテレワークの導入支援に取り組んできました。
また、介護と仕事を両立できる職場環境を積極的に整備している企業を、「かながわサポートケア企業」として認証し、県がPRすることで、各企業の取組を後押ししてきました。
しかし、昨年、国が実施した就業構造基本調査によると、県内には、依然として約19万人もの多くのビジネスケアラーがいると推計されており、平成29年度以降の5年間で、介護や看護のために離職した方の数は約1万1,700人にも上っています。
特に、規模が小さい企業ほど、介護休暇等を取得しにくい傾向があるため、中小企業における職場環境の整備を、さらに進めていく必要があります。
そこで、今後、経済団体等と共催で実施するフォーラムの中で、介護離職を取り上げ、中小企業の経営者に、社内のビジネスケアラーを把握する必要性を理解していただくとともに、介護離職を防止するための取組事例を紹介し、職場環境の整備を促していきます。
また、「かながわサポートケア企業」では、介護と仕事の両立に向け、様々な優れた取組を実践していますので、
こうした取組をホームぺージ等で県内企業に広く周知します。
このほか、社内研修の実施や、介護の相談ができる窓口の設置など、中小企業における具体的な取組に対する支援についても検討していきます。
こうした取組により、家族などの介護が必要な従業員であっても、安心して仕事を続けられるよう、中小企業への支援を進めてまいります。
あらい議員 再質問:
それでは1点再質問させていただきます。中小企業のビジネスケアラー支援についてでありますが、介護に関して個々の従業員が抱える課題を企業全体の課題であると意識を変えなければなりません。従業員の心身の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるという「健康経営」により企業が資本市場・労働市場等で評価される仕組みがあります。
県でも、企業の健康経営の推進に向けた取組を進めていると承知していますが、健康経営にも、仕事と介護の両立など、ビジネスケアラーの視点は重要と考えます。
健康経営などを進めていくうえでは、ビジネスケアラーを取り巻く環境を改善する取組も検討すべきと考えますが、見解を伺います。
黒岩知事 再質問答弁:
それでは、再質問にお答えいたします。
県では、平成29年度から、事業所ごとに健康管理最高責任者、いわゆるCHOを設置して、継続的に健康経営を行う「CHO構想」を掲げ、従業員とその家族の健康づくりに率先して取り組む企業を支援しています。
こうした中、国の「健康経営」の取組において、育児や介護との両立に係る項目が評価項目とされるなど、ビジネスケアラーへの支援を充実する動きもあります。
そこで県では、健康経営に関するセミナーなどの開催を通じて、企業の経営者に対して、ビジネスケアラーの視点や仕事と介護の両立支援の重要性の普及を進めていきます。さらに、介護の主な要因となる、フレイルや認知症といった健康課題にも産学公が連携して取り組んでまいります。答弁は以上です。
(要望)
ビジネスケアラーについては、本県も介護による離職者が1万1千人に上るとのことでありました。人手不足が叫ばれる中、特に中小企業にとって、優秀な人材が介護により仕事をやめなくてはいけなくなるという事態は、経営に直結する大きなリスクであるということを、企業の経営者が認識することが必要であると考えます。
秋から始まる健康経営銘柄選定の前提となる健康経営度調査エントリーにおいて、企業のビジネスケアラー施策が新たに調査評価項目に入るときいております。健康経営の観点からも、企業が仕事と介護を両立する環境を整備できるよう、県としても引き続き支援することを要望いたします。