9月20日令和5年第3回定例会での難波達哉県議による一般質問を掲載させていただきます。
以下が内容です。
難波達哉議員 質問:
8月下旬、県の指定管理施設である厚木精華園において、支援員が高齢の利用者を引き倒すという行為が虐待として認定されたと公表された。
こうしたことが、施設に対する利用者、御家族、地元住民からの信頼を損なうことにならないか心配なこととあわせて、福祉分野では、人材確保が年々厳しくなる中、園の運営に悪影響を及ぼさないことを願うばかりである。
今年4月に、「神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例」が施行され、当事者目線の障がい福祉を実現していくためには、改めて原点に立ち返り、障がい者ご本人のことをしっかり理解し、当事者目線の支援にあたることが重要であると考える。
そこで、すべての県立施設における虐待防止に向けて、県として施設への指導や職員の育成にどのように取り組んでいくのか、見解を伺う。
福祉こどもみらい局長 答弁:
福祉子どもみらい局関係の御質問にお答えします。
当事者目線の支援の実践に向けた県立障害者支援施設への指導や職員育成についてお尋ねがありました。
厚木精華園での虐待事案の発生を受け、県は、再発防止に向け、園の関係者への聞き取りや、日々の支援記録などの調査を行いました。
その結果、職員間でのコミュニケーション不足や、利用者本人の特性を支援員が十分理解せずに支援が行われていたことなど、中井やまゆり園の検証でも指摘された課題が明らかになりました。
こうした課題を、全ての県立施設の職員が自分ごととして受け止めて、支援改善につなげていく必要があります。
そこで、県立施設の施設長会議を、速やかに開催し、この事案が発生した要因を共有するとともに、施設に対し、同様の課題がないか、再点検を指示しました。
現在、中井やまゆり園では、利用者本人への理解を深めるため、入所する前の暮らしの場の訪問や、成育歴の聞き取りのほか、直接本人から話を聞く場を設けており、こうした具体的な実践を他の県立施設にも伝えていきます。
また、職員の育成としては、全ての県立施設の職員を対象に、若手、中堅、管理職など階層別の研修を実施していますが、この研修の中で、今回の事案の背景にある課題を職員同士で議論することにより、理解を深めていきます。
さらに、先進的な支援を行っている民間施設に職員を派遣する研修の実施や、福祉職、看護師や栄養士などの多職種で、具体的な事例を検討する場を設けます。
こうした取組により、県本庁と各施設が一体となって県立施設の虐待防止と支援の質の向上を進めてまいります。
難波議員 再質問:
当事者目線の支援の実践に向けた、県立障害者支援施設への指導や職員の育成について、私が知る民間施設では、毎年、お祭りなどのイベント開催時には地域の方々をお呼びしたり、地元ボランティアを積極的にお願いするなど、地域との交流を意識した施設運営が進められている。
こうした地域の方々との交流は、地元の方々の御理解や絆づくりにもつながる重要なことであり、施設にとっても地域の目が届くことになる。そして、障害者支援施設で暮らす障がい者の今後の地域生活移行につながる重要な取組だと考えるが、県立施設ではどのように取り組もうとしているのか、見解を伺う。
局長 再質問答弁:
園の改革を進めている中井やまゆり園では、秦野駅前に設置している活動拠点を活用した清掃活動といった取組や、近隣の農家の方からお借りした農地での野菜作りなど、利用者と地元の方との交流が始まっています。
県立障害者支援施設では、各園でこうした地域との交流をより一層充実させることで、地域の方々の理解を深めながら、利用者が望む地域での暮らしを実現してまいります。
(要望)
県立障害者支援施設について、ぜひとも地域の方々と、しっかりとコミュニケーションを取りながら、地域の方の目が届く施設にしていただくことを心からお願いしたい。代表質問でも、高橋議員の方で触れさせていただいたので、ぜひとも今後そういったことがないように、率先して素晴らしい施設づくりに取り組んでいただきたい。